休職

自分がうつ病になるとはまったく思いませんでした。仕事もまずまず順調でしたし、家庭もこれといって大きな問題なく過ごしてきました。

兆候

考えがまとまらない。打ち合わせに集中できない。といった事を自覚し始めたのは何年前からか。年齢によるものか、ただ能力が低いだけか、と大して気にもしていませんでしたが、2年ほど前から自分がここで働いていない方がみんなの為になる。と明確に思い始めました。上司に部署移動を申し入れましたが、当然ながら受け入れられず、ズルズルと1年あまり経過しました。ある日、めまいで会社を休みました。(思い返せばそれ以前にもめまいの症状はありました。)医者に行きましたが様子見の診断。会社に行かず、家でテレビを見てるうちに症状はなくなり元気になりました。

辞表

めまいで会社を休んでから1ケ月後、辞表を書きました。(引継ぎ期間を考慮して退社する日を設定しました。)発作的という訳ではなく色々考えて、嫁さんにも相談してから書きました。上司に提出する日は少し緊張しましたが、他に選択肢はないと思っていたので迷いはありませんでした。出社すぐに上司に提出しました。上司は「今すぐは辞表は受け取らない。もう少し待って欲しい。人事には辞める考えがあることを伝える。」と言いました。

先輩そしてカウンセラーさん

私が恵まれていたのは私を心配し会社を辞めることを引き留め、じっくりを話を聞いてくれる先輩がいた事です。私の上司が私と付き合いの長い先輩に辞表の件を漏らしたようでした。先輩曰く「今の〇〇はこれまでと違う。冷静になって、結論を早く出し過ぎない方が良い。会社をもっと利用すればいいじゃないか。」とアドバイスしてくれました。彼の勧めで一度カウンセラーと話をすることにしました。休日に最寄りの会社契約のカウンセラーに予約を取り、1時間ほどこれまでの経緯、どんな事を考えてきたか。今どう考えているか。職場での自分の状態などを話しました。60歳半ばくらいの女性のカウンセラーさんは私の話を聞いてこう言いました。「あなたは今すごく苦しそうです。そして自分が思っているより弱っていると思います。くずれたバランスを整えてから仕事について考えた方が良いと思います。一度キチンと診察を受ける事をお勧めします。」

診察

カウンセラーさんと話をした2日後、紹介してもらったメンタルクリニックに診察予約を入れて仕事を終えてから診察を受けました。メンタルクリニックで診察を受ける事を躊躇する気持ちはなく、自分がどういう状態なのか第三者の意見をもっと聞きたいという考えが強かったです。先輩そしてカウンセラーさんと話をしてきて、もしかしたら?という風に思い始めていました。予約の時間に受付を終え、診察室に入ると高齢の眼鏡を掛けた先生が居ました。辞表を出した事。そこに至るまでに考えた事。今どんな気持ちでいるか。など話をしてから30問くらいの質問に5段階でチェックを入れるテストをしました。先生はその結果を見ながら「あなたはうつ状態にあります。治療を要するので診断書を書きますから会社に提出してください。」とキッパリした口調で言いました。更に「来週もう一度診察に来てください。」と言うので慌てて「来週来られるかはスケジュール調整しないと分かりません。」言うと、先生は冷静な口調で「大丈夫診断書を受け取った会社はあなたを出社させられません。来週あなたは会社を休んでいます。だから今日と同じ時間か昼間でもいいのでもう一度診察に来てください。」と言ってにこっとしました。言ってることは分かるのですが、本当に会社を休めるのか?と半信半疑でした。30年間会社勤めしてきた人間にとっては簡単には受け入れられない事でした。

診断書

翌日、上司を通して総務部に診断書を提出しました。その日夕方、総務部の担当者に呼ばれ面談しました。総務部の担当者は私が上司に辞表を提出した事も知っています。「診断書を受け取りました。30日の加療が必要とありますので、明日から休んでもらいたいですが、可能ですか?人によっては休むほうがストレスになり、調子を崩す場合があります。〇〇さんの意思を尊重します。」との事でした。「休みたい。でも抱えている仕事はどうなる?誰がやる?俺が休んで部署のみんなが潰れないか?」といった考えがぐるぐるして、まったくまとまりません。「1日考えさせてください。」と言うのが精一杯でした。帰宅して嫁と相談しました。出した結論は休む事。迷惑を掛けることはしょうがないとあきらめる。病気と診断されたのだから、休んで治療をしてから会社を辞めても遅くない。という事でした。思い返せばこの判断は重要でした。うつの時には重要な決断はしない方が良いようです。それからうつ病が本当にひどくなる前に休んだ事は良かったようです。

休職

翌日は出社してすぐ総務部の担当者と面談して休職すると報告しました。休職を報告して、そのまま帰宅しました。総務部担当者からは落ち着いたらで良いので気になる仕事について箇条書きでメールを送付するよう依頼されました。迷惑掛ける事はしょうがない。と受け入れる(諦める)決心をしての休職でしたが家に居ても仕事の締め切りが気になりました。30年毎朝仕事に通っていたのですから急にはペースが掴めません。2019年11月。学生時代以来約30年振りの長期休みの始まりでした。